無意識に体を
動かさなくなっている場合
症状
大動脈弁狭窄症は症状を自覚しないままで、病気が進行している可能性があります。
大動脈弁狭窄症は軽症のうちはほとんど自覚症状がありませんが、徐々に進行して息切れや動悸、胸の痛みなどの症状が現れ、重症になると失神や突然死に至る可能性があります。
しかし、重症になって初めて症状を自覚したり、心不全と診断され入院後に病気が判明する場合もあります。高齢の患者さんは日常生活での活動を無意識に制限する傾向があるため、重症であっても症状を自覚していないこともあります。
年をとったせいだと
勘違いしている場合
症状に慣れてしまって
気づかない場合
自覚症状がない重症の大動脈弁狭窄症の患者さんの場合でも、検査を行うと「症状あり」と診断されることがあります。
重症患者さんの半数以上(54%)は自覚症状がないと報告されています1。
【患者さんの主な症状1】
しかし実際に、自覚症状がない重症患者さんの場合でも検査(運動負荷試験)を行うと、約半数(48%)は「症状あり」と診断されました2。
【自覚症状がない患者さんの検査結果2】
大動脈弁狭窄症は、はじめは弁という一部分の病気ですが、進行すると心筋(心臓を動かす筋肉)が分厚くなってしまいます。そのような状態になると、いくら一部分である弁を取り換えても心筋の障害は回復せず、心臓は元通り働くことができなくなります。大動脈弁狭窄症は自然に治ることはないので、心筋の障害が進行する前に適切なタイミングでの診断と治療をすることが非常に大切です。
症状が現れると予後(病気の経過の見通し)が悪いことが知られています。
重症大動脈弁狭窄症で開胸手術を行わない場合の5年生存率は、肺がんの5年相対生存率よりも少し低くなっています3,4。
1:Izumo M, et al.: J Cardiol. 2017; 69(1):110-8.
2:Rafique AM, et al.: Am J Cardiol. 2009; 104(7): 972-7.
3:がん情報サービス, がん腫別統計情報. https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/index.html(2024年1月31日閲覧)
4:Varadarajan P, et al.: Eur J Cardiothorac Surg. 2006; 30(5): 722-7.
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