大動脈弁狭窄症の治療法

概要

大動脈弁が一旦狭窄すると、元に戻らず、軽症、中等症、重症、超重症へと進行していきます。

軽症、中等症のうち、薬で症状を緩和し経過観察を行う「保存的治療」がなされますが、重症以上まで進行した場合、弁膜症チームによって手術治療の必要性と適切な手術方法が選択されます。

大動脈弁狭窄症の潜在患者数 (無症候性+症候性)

  • 1:TAVI: Transcatheter Aortic Valve Implantation
  • 2:SAVR: Surgical Aortic Valve Replacement

治療のタイミング

大動脈弁狭窄症は、適切なタイミングで治療を受けることが重要です。

大動脈弁狭窄症は、一旦症状が現れると予後(病気の経過の見通し)が急速に悪化します3。重症まで進行した場合、早期に手術治療を検討することが重要です。重症度によっては、患者さんが症状を自覚していなくても手術治療が必要な場合があります。

また、治療を先延ばしにして適切なタイミングを失うと、心臓の働きは低下し、命にかかわる可能性が高くなります。

  • 3:Horstkotte D, Loogen F. The Natural History of Aortic Valve Stenosis. Eur Heart J.1988;9:57-64.

症状があるにもかかわらず、自覚していない重症患者さんに対しては、半年~1年前と比べて、体の変化がないかを確認することが大切です。ご家族など身近な方が気づいてあげることも重要です

保存的治療

保存的治療は、薬で症状を抑えることができますが、弁そのものを治すわけではありません。

保存的治療は、薬で症状を緩和したり、心臓にかかる負担を取り除きます。その効果は患者さんごとに異なります。

但し、保存的治療は、弁そのものを治すわけではありません。大動脈弁狭窄症が重症になると、機能しなくなった大動脈弁を人工弁に取り換える手術治療が必要になります。

定期的に検査を行い、再評価することが重要です。

〈 代表的な薬 〉

手術治療:開胸手術

弁を根本的に治すには、悪くなった弁を取り換える必要があります。

開胸手術

開胸手術は、人工心肺装置を使い、狭窄した心臓弁を取り除き、人工弁(生体弁または機械弁)に取り換える手術です(外科的弁置換術:SAVR)。
開胸手術の中には、より小さな切開で手術を行うMICS(低侵襲心臓外科手術)という治療法があります。

〈 外科的弁置換術で使用される人工弁 〉

生体弁は、弁に経年変化が生じるため、再手術になる可能性があります。再度開胸して新しい人工弁に取り換える治療法と、カテーテルで古い人工弁の中に新しい人工弁を植え込む治療法があります。

  • 4:日本循環器学会/日本胸部外科学会/日本血管外科学会/日本心臓血管外科学会合同ガイドライン,2020年改訂版 弁膜症治療のガイドライン.
    https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/04/JCS2020_Izumi_Eishi.pdf(2020年6月24日閲覧)

カテーテル治療(TAVI)

TAVIはカテーテルを用いて弁を取り換える治療法です。

TAVIは、重症以上の大動脈弁狭窄症に対する治療法で、開胸することなく、また心臓も止めることなく、カテーテルを使って人工弁を患者さんの心臓に留置します。
2002年にヨーロッパで始まり、日本では2013年に保険適用の対象となりました。

2つの手術治療法の比較

個々の患者さんによって治療法が異なります。ご自身の価値観や希望を主治医に伝えて相談しましょう。

2020年に改定された弁膜症治療のガイドラインでは、手術治療の選択は、様々な要素(患者さんの年齢、解剖学的特徴、併存疾患、フレイルなど)を考慮し、患者さんに両治療法の説明を行ったうえで、患者さんの価値観や希望を加味し、最終的に弁膜症チームで決定することを推奨しています。

2つの手術治療法の比較

  • 注1:弁の劣化による再手術回避率は、いずれの弁においても個々の患者さんの年齢や併存疾患等によって異なります。
  • 注2:機械弁は抗凝固剤の服用を必要とし、生体弁とは治療する患者さんの年齢や併存疾患等が異なります。
  • 5:Sathananthan J, Lauck S, Polderman J, et al. Ten year follow-up of high-risk patients treated during the early experience with transcatheter aortic valve replacement. Catheter Cardiovasc Interv. 2020; 1-7.
  • 6:Bourguignon T, Bouquiaux-Stablo AL, Candolfi P, et al. Very Long-Term Outcomes of the Carpentier-Edwards PERIMOUNT Valve in Aortic Position. Ann Thorac Surg. 2015;99:831-7.

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