先生たちに出会えたから、今がある。         その出会いに、感謝しています。

ハートチームで議論を重ね問題を1つずつ解決して、TAVIを実施。

1つ1つ問題を解決

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検査入院の結果は、どうだったのでしょうか。

松村きみ子さん いろいろ見つかったんだよね。

渡邊先生 そうでしたね。まず、脈がゆっくりだったことは以前から分かっていたので、1月にペースメーカーの埋め込み手術をしました。TAVI をするとそれがさらに悪化してしまう可能性があったので。また、全身の検査をしたら、お腹に45ミリぐらいのコブ(動脈瘤)が見つかりました。お腹にコブがあると、TAVI をするときに、太ももの付け根からのアプローチ(*2)ができません。けれど、松村さんは、僧帽弁にも閉鎖不全があったのと、COPD(慢性閉塞性肺疾患) があったので、胸からのアプローチ(*3)も難しかったんです。

TAVIを実施するまでの経過は、どのようなものだったのでしょうか?

渡邊先生 TAVIとお腹のコブに対するステントグラフト治療(*4)を同時にすることも検討したのですが、やはり同時手術は危険だと判断しました。それで、先にステントグラフト治療をしてからTAVIを検討することになりました。2014年1月にペースメーカーの手術をした後、2月には今水流先生がお腹のコブのステントグラフト治療をしました。その後、足の血管に血栓ができちゃったんですよね。

松村きみ子さん そう、その手術もしましたね。

渡邊先生 心不全も起こして、当院の循環器センターで人工呼吸器のマスクをつけたり外したりという状態でした。1回、気管挿管までしたんです。前の年の12月にBAVをしてから2月までの3カ月間で弁が硬くなってしまっていて、TAVIを実施するにしてもちょっと状況が悪いということで、2回目のBAVをしました。その後、TAVIをするにあたって、胸からのアプローチは体力的に難しいことから、太ももの付け根から通すしかないということになりました。ただ、お腹にあるステントグラフトの中をTAVIのカテーテルが通るかどうかというのがすごく心配でしたが、ハートチームで検討を重ね、今水流先生にも「大丈夫。これは通るでしょう」とお墨付きをもらって、4月11日にTAVIを行いました。

松村きみ子さん 着がえて、手術室に行くという時に、12時ごろ、近くの総合病院で担当だった先生が来てくれて、「頑張ってこいよ」と言って握手してくれたの。

渡邊先生 TAVIは無事成功し、自転車こぎなどの軽いリハビリをして、5月3日に退院されました。

松村きみ子さん 退院した後、1回あちらに行ったら、「元気になったね」と言われました。

TAVI を受けられてからは、入院することはなくなりましたか?

息子さん いや、退院してから約10日後の5月14日にまた入院して…。

松村きみ子さん 夜、苦しくなっちゃって。それで、頼んで病院に連れていってもらったの。

渡邊先生 心不全で、肺に水がたまってしまって。ほかの弁も悪かったので、TAVIだけでは難しくて、お薬を調整しました。それで落ち着いて、退院されました。

息子さん その後、1度だけ、ウイルス性感染症で入院しましたが、退院した8月初めからは、おかげさまで通院だけになりました。

松村きみ子さん まったく出たり入ったりで、お世話になりました。

渡邊先生 その後は、大体2カ月に1回のペースで受診されています。薬がうまく効いているみたいで、肺に水もたまらなくなったしね。

松村きみ子さん 元気でいさせてもらっています。

渡邊先生 松村さんの場合は、大動脈弁狭窄症だけでなく、高齢者なりのいろいろな病気を合併していて、複数の問題があった。それを、TAVI だけじゃなく、ペースメーカーやステントグラフト、薬物療法などで、1つ1つ解決していったことが、今、元気になった理由ではないかと思っています。

松村きみ子さん 病気を見つけてもらって解決、また見つけてもらって解決。みんな失敗じゃなくて、成功しているからね。

「大丈夫」という先生の言葉で決意

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TAVIは2013年10月に始まったばかりの新しい治療法ですが、そのような治療法を提示された時は、どのように思われましたか? 不安はありませんでしたか?

息子さん 母は、近くの総合病院に入院したときの状態があまりに悪かったせいか、すごく苦しがっていて、「もういいよ」と言っていました。でも、TAVI をしないと、結局はいつ危なくなるか分からないですからね。それで、受けてみようと。それしかないと。私自身は、別に不安もありませんでした。

松村きみ子さん 私は、何も分からないぐらい、苦しかったですからね。

息子さん ただ、苦しさがなくなってからは、前向きになってくれて。

松村きみ子さん そうそう。先生に聞いたら、「大丈夫だ」と言われて。先生が大丈夫だと言ったんだから、任せるよりほかないと思いました。

 

*2 TAVI(経カテーテル大動脈弁治療)の2つの手法のうち、生体弁を装着したカテーテルを太ももの付け根の血管から挿入する方法。TF(経大腿アプローチ)。

*3 TAVIの2つの手法のうち、肋骨の間を小さく切開し、心臓の先端を通じて挿入する方法。TA(経心尖アプローチ)。

*4 特殊な人工血管を動脈瘤の内部で広げ、血液の流れを確保し、動脈瘤にかかる圧力を減らす治療方法。人工血管は細くした状態で太ももの付け根の大腿動脈から血管内に挿入するため、胸や腹部を切開せずに済み、人工心肺も必要としない。負担を少なくした治療法。

ここに掲載された情報は、あくまで一般的な解釈に基づき疾病・治療法情報を提供する目的で作成されたものであり、 特定の手技等を推進するものではありません。個々の患者さんの診断および治療方法については、必ず医師とご相談ください。

登場者プロフィール

  • 患者さん

    松村 きみ子さん
    (92歳)

  • 息子さん

    松村 健司さん

  • 監修

    渡邊 雄介先生
    帝京大学医学部附属病院
    循環器内科 助教

    2003年 筑波大学卒業
    災害医療センター 臨床研修医
    2005年 榊原記念病院 循環器内科 レジデント
    2009年 榊原記念病院 循環器内科 医員
    2011年 Institut Cardiovasculaire Paris Sud, Clinical Fellow
    2013年 帝京大学医学部附属病院 循環器内科 助教
    現在に至る

  • 監修

    今水流(いまづる) 智浩先生
    帝京大学医学部附属病院
    心臓血管外科 講師

    1995年 筑波大学卒業
    2002年 筑波大学臨床医学系 助手
    2008年 筑波メディカルセンター病院
    2011年 帝京大学医学部附属病院 心臓血管外科 助教
    2012年 帝京大学医学部附属病院 心臓血管外科 講師
    現在に至る

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