先生たちに出会えたから、今がある。         その出会いに、感謝しています。

身の回りのことを自分でこなし、お友達とのお付き合いも楽しんでこられた松村きみ子さん。高血圧で受診する以外は、特に病気にかかることもなく、息苦しさを感じることもありませんでした。ところが、5年前のある日、自転車で転倒したのをきっかけに救急搬送され、そこで心臓弁膜症、心不全であることが判明しました。薬での治療が続けられましたが、一進一退を繰り返し、2年前に状態が悪化。90歳という年齢から、TAVI (経カテーテル大動脈弁治療)が選択され、帝京大学医学部附属病院で治療を受けました。その際の貴重なお話を、息子さんや先生方を交えて語っていただきました。(インタビュー実施:2015年7月)

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転倒をきっかけに救急搬送

大動脈弁狭窄症と診断されたきっかけと、それまでの生活の様子を教えていただけますか?

松村きみ子さん 普通に家事もしていましたし、80歳を過ぎても自転車に乗って買い物に行くぐらいでした。趣味もいろいろありましたよ。お習字とか。元気なときは、踊りもしてたの。大きな病気もしたことがなかったんだけど、いっぺんに来ちゃった。

息子さん 5年前に、自転車で転んだんだよね。

渡邊先生 急に苦しくなっちゃったんですよね。

松村きみ子さん どうしてなのかねえ。そのときのことは、よく覚えていないの。

息子さん 心臓に関しては分からないのだけど、転んだときも多少熱があったんじゃないかな。転んだ日の晩は家で寝て、朝になったら具合が悪くなっていたみたいです。夫婦2人で住んでいたのですが、父から「何かおかしい」と連絡があったので様子を見に行ったら、母は朦朧としていて…。問いかけても「大丈夫」みたいなことを言うだけなので、父と「これは危ないね」となって、とにかく救急車を呼びました。それで、近くの総合病院に運ばれました。最初は肺炎という診断で、内科に入院となったのですが、いろいろ検査をするうちに「これは心臓のほうだ」ということになりました。そして、循環器内科で心臓弁膜症、心不全と診断されて、CCU(冠疾患集中治療室) に入ることになったんです。

松村きみ子さん 苦しかったことだけは覚えています。

息子さん すごい苦しがっていたよね。酸素マスクをつけられて、しばらく寝たきりの状態でした。

救急搬送される以前に、心臓が悪いと言われたことはありますか?

松村きみ子さん 高血圧があったくらいで、あとは息苦しいとか、階段が上りづらいとかは、全然なかったです。

息子さん 高血圧で近くのクリニックにはずっと通院していました。救急車で運ばれた総合病院は、そのとき初めて受診しました。

そのとき、87歳でいらしたのですよね。治療については、どのような説明をされたのですか?

息子さん 「(開胸する)手術はできません」と言われて、薬での治療を受けることになりました。少し時間はかかってしまったんですけど、肺にたまっていた水を抜いてもらったり、薬を調節してもらって、退院することができました。

退院から3年後、再び大変な状態に

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退院された後は、日常生活に問題はなかったのですね。

松村きみ子さん 普通でしたよ。家事もできたしね。

息子さん さすがに自転車はもう乗りませんでしたけど(笑)。

その後、帝京大学医学部附属病院を受診されることになったきっかけは何だったのですか?

息子さん 薬で治療しながらずっと通院していたんですけど。2013年の12月に、「苦しい」と言い出して、以前救急車で運ばれた総合病院で診てもらったんです。

松村きみ子さん お友達と一緒にいた時に苦しくなって、病院に電話したの。そしたら、「すぐ来なさい」と言われて。息子は会社だったので、お友達と一緒に車で病院に行ったら、看護師さんが入り口のところで待っていてくれて、「早く、早く」と。検査に行って、そのまま入院になったんです。

息子さん 母の担当だった先生が、その日たまたま不在だったので、「とりあえず、一晩様子を見ましょう」ということで入院することになりました。その日は、まだ悪くなかったんですが、次の朝、何か喉に詰まらせちゃって、そこから具合が急に悪くなったみたいです。

松村きみ子さん ICU(集中治療室)で、また酸素マスクをして、静脈にカテーテルを入れられてしまって。

息子さん 入院した次の日、仕事を終えて病院に行ったときには、もう酸素マスクをして、具合が悪くなっていました。脈が落ちてくるし、自分で呼吸するのも難しいということで、人工呼吸器をつけましょうということになりました。そこからですよね、渡邊先生が出てくるのは。

渡邊先生 そのときの松村さんの担当の先生とは、昔からの知り合いなんです。それで、その先生や循環器内科の部長の先生から、「大動脈弁狭窄症、心不全で、非常に具合が悪い患者さんがいる。何とかしてほしい」という連絡をいただいたんです。2013年12月時点では、当院でTAVIを実施できなかったのですが、「将来的には、TAVIの適応も考慮しつつ、とりあえず、今の状態をよくするために、弁の開きが悪くなっているところを風船で広げましょう」ということになって、経皮的バルーン大動脈弁形成術(BAV)(*1)を行いました。それでよくなって、退院されたんですよね。

息子さん そうそう。退院後は、TAVIのこともあったので、渡邊先生に継続的に診てもらうということで、帝京大学医学部附属病院に移りました。それが2014年の1月です。

渡邊先生 まずはTAVIを検討するに当たって、いろいろ調べようということで検査入院してもらったんです。

 

*1 カテーテルを用いて狭窄した大動脈弁まで風船を運び、一時的に膨らませて弁を大きく開くことで、開閉のうまくいかない弁を開きやすくする方法。BAV(BalloonAortic Valvuloplasty)。

ここに掲載された情報は、あくまで一般的な解釈に基づき疾病・治療法情報を提供する目的で作成されたものであり、 特定の手技等を推進するものではありません。個々の患者さんの診断および治療方法については、必ず医師とご相談ください。

登場者プロフィール

  • 患者さん

    松村 きみ子さん
    (92歳)

  • 息子さん

    松村 健司さん

  • 監修

    渡邊 雄介先生
    帝京大学医学部附属病院
    循環器内科 助教

    2003年 筑波大学卒業
    災害医療センター 臨床研修医
    2005年 榊原記念病院 循環器内科 レジデント
    2009年 榊原記念病院 循環器内科 医員
    2011年 Institut Cardiovasculaire Paris Sud, Clinical Fellow
    2013年 帝京大学医学部附属病院 循環器内科 助教
    現在に至る

  • 監修

    今水流(いまづる) 智浩先生
    帝京大学医学部附属病院
    心臓血管外科 講師

    1995年 筑波大学卒業
    2002年 筑波大学臨床医学系 助手
    2008年 筑波メディカルセンター病院
    2011年 帝京大学医学部附属病院 心臓血管外科 助教
    2012年 帝京大学医学部附属病院 心臓血管外科 講師
    現在に至る

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