先生とバルブコーディネーターの支えで、                      不安が解消されました。

腎臓の手術をするために、先に進めた心臓の治療。
回復の早さを重視し、TAV I を選択。

11-07次の手術に迅速に取りかかるために

Aさんは70代前半という年齢でTAVIを受けられています。TAVIはAさんよりも年齢が上の方に適用されることが多いようですが、この方法を選択された理由を教えてください。

田邉先生 Aさんの年齢からすると、標準治療は開胸して行う大動脈弁置換術*3ですが、別の臓器に悪性腫瘍がある場合、大動脈弁置換術は、開胸し、人工心肺装置を使って体外循環で行うので、免疫力が低下して腫瘍の勢いを増し、転移を助長する恐れがあると言われています。それに、術後のリハビリや体力の回復に必要な期間も長くなります。Aさんの場合は、とにかく腎臓の手術を早く受けることが目的だったので、術後の回復が早いこと、転移もしにくいことから、当院のハートチーム*4ではTAVIをお勧めすることにしたんです。5月27日に入院していただいて、いろいろな検査をしながら準備を進めて、6月17日にTAVI を行いました。通常は、検査入院後、一旦退院してTAVIを行う日程を組むのですが、Aさんは退院なしで、考えられる一番短い期間で済むようにしました。

 

TAVIを行う日はどのようなお気持ちでしたか?

Aさん もうすべて先生にお任せで、全然不安はなかったです。

田邉先生 それは今初めて聞きました。そうでしたか。

息子さん TAVIは、まだそれほど一般的な方法ではないと聞いていましたけど、先生方が母のために何回も会議を重ねて、これがベストだという答えをもらったので、安心してお願いをしましたね。

田邉先生 ハートチームでは、だいたい毎週1回は会議をします。手術の候補に挙がっている患者さんについて検討するのですが、検査の結果から、TAVIにこだわらずに開胸する大動脈弁置換術を選択することもありますし、逆に開胸手術からTAVIをすることになった患者さんもいます。そういう検討の経過を患者さんにお伝えしています。

11-09石原さん 入院中に、Aさんのところにお話をしに行くと「もうちょっと生きたい、もうちょっと生きたい」といつも言っていましたね。最初は不安な様子でしたが、「生きる」という目標があるんだと思いました。TAVIを行うという最終決定をお伝えする場ではもう落ち着いていましたよね。

Aさん 手術が終わって目が覚めたときは、ピースってやりました(笑)。

 

紹介元の病院と連携し、TAVI後1カ月で次の手術を

TAVIの後も別の手術が控えていたわけですが、どのようなスケジュールだったのでしょうか。

田邉先生 術後1週間の6月24日に退院されて、約1カ月後の7月21日に紹介元の総合病院で腎臓の腫瘍の手術を受けられて、成功しています。5月25日に当院に紹介していただいてから、ほぼ2カ月で2つの手術ができたわけです。紹介元の総合病院とAさんの様子について連絡を取り合って、うまく連携できた結果だと思います。最近、ほかの臓器の手術、特に腫瘍の手術が必要となるときに、大動脈弁狭窄症が見つかる方が増えてきているんです。実は、Aさんの後にも、同じように腫瘍の手術の前に大動脈弁狭窄症の治療でTAVIを行った患者さんが何人かいらっしゃるんですよ。

2つの手術を経て、仕事を再開

術後の生活はいかがですか?

Aさん もう息切れも感じませんし、腎臓の手術の後の9月から仕事も再開しました。前よりも楽にできるようになりました。

田邉先生 腎臓の手術も、泌尿器のなかではかなり大きな手術だったはずなのですが、それでも9月に復帰されるというのはすごいですね。

Aさん 腎臓の手術をした総合病院でも、「元気で帰ってこられますか」と聞いたら、「大丈夫ですよ」と言われました。

石原さん TAVIの後の診察でもお会いしているのですが、心臓の手術をした方とは思えないぐらいの元気な様子で座っているんですよ。その姿を見ると、私もすごくうれしいです。東京オリンピックを見たいって言ってましたよね(笑)。

Aさん 見たいですね。

 

*3 開胸し、大動脈を切開して機能が低下した大動脈弁を取り除き、人工弁を縫い付ける方法。人工心肺装置を用いて、心臓を停止させた状態で行う外科手術。AVR(Aortic Valve Replacement)。

*4 TAVIは、カテーテル治療専門医(主に循環器内科医)、心臓血管外科医、麻酔科医、心エコー医および看護師、理学療法士、放射線技師、臨床工学技士などのコメディカルが各専門分野のノウハウを結集し、一人ひとりの患者さんにとって最適な治療法を検討、選択することによってはじめて可能となる。この専門家集団を「ハートチーム」と呼ぶ。

 

 

ここに掲載された情報は、あくまで一般的な解釈に基づき疾病・治療法情報を提供する目的で作成されたものであり、 特定の手技等を推進するものではありません。個々の患者さんの診断および治療方法については、必ず医師とご相談ください。

登場者プロフィール

  • 患者さん

    Aさん
    (74歳)

  • 監修

    田邉 健吾先生
    三井記念病院
    循環器内科 部長
    1995年 名古屋大学卒業
    2001年 Erasmus 大学附属,
               Erasmus Medical
               Center,
               Thoraxcenter,
               Research Fellow
    2003年 三井記念病院 循環器内科
    2013年 三井記念病院 循環器内科            部長
    現在に至る

  • 監修

    石原 めぐみさん
    三井記念病院
    看護部/
    バルブコーディネーター
    1995年 三井記念病院
        高等看護学院卒業
                三井記念病院 看護部
    現在に至る

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